簡易水冷一体型CPUクーラー、CORSAIR 『Hydro Series H60』(型番:CWCH60) (コルセア ハイドロ シリーズ:エイチ60)。
それまでの水冷クーラーと違い、一般的な空冷クーラーと大差ない扱いやすさと価格で人気が出た製品シリーズの現行版。
上記写真の通り、パッケージに記載のAMDの対応ソケットは、AM2/AM3となっているが、FM1やFM2でも使用可能。
今回は、AMD A-Series APU Trinity A10-5800KというFM2のプロセッサーに取り付けてみた。
追記(2012/11/9)
「グヮグヮグヮグヮグヮグヮ」という独特の騒音に我慢できず、外しました。その独特の騒音と使用感を簡単に追記しました。
先代CWCH50と比べると、パッケージの大きさは半分ほどになり、保証期間は2年間から5年間になった。シュリンク包装にIvyBridge対応のステッカーが貼られている。
パッケージを開けたところ。
説明書にはIntelとAMDの二通りの取り付け方が書かれている。
銅製のヒートシンクに予めグリスが塗られており、すぐに取り付けることが出来る。
本体の構成は、左からラジエターと冷却用の水が流れるプラスチック製の硬いホースがCPU側のヒートシンクとポンプが合体したユニットに繋がっている。このポンプの電源はマザーボード上のファンコネクタに接続する。
ラジエター。冷却水は、ポンプによってCPU部とラジエターの間で循環する。CPUの熱を吸収して温められた冷却水がラジエターへ送られ、ファンの風で冷やされてからCPUへ戻っていく。
一般的な空冷クーラーがヒートシンクとファンだけで構成するのに対して、仕組みは複雑である。この製品では、その複雑な仕組みを持つ水冷クーラーを手軽に扱い易く使えるようにしている。そこが良いと思う。
ラジエター冷却用の12cmファン。電源コネクタは4ピンでPWMに対応している。
リブ無し。PCケースとラジエターに長いネジで挟んで留めるので、本当はリブ有りの方が相応しいと思うけど…。ファンは、自分の好きなものを使っても良いし、ファンを2つ用意してラジエターを両側から挟んで冷却効率を上げるというような、使い手の工夫次第で楽しめる余地がある。
左から
ファンとラジエターをPCケースに取り付けるネジとワッシャー、
AMD FM1に使用する交換用リテンション
Intel用のリテンションバックパネル、取り付けねじ類。
説明書は、Intel用と
AMD用の二通り書かれている。
今回は、AMD A10-5800K (Socket FM2)で使う。予め取り付けられているリテンションはIntel用なので、付属品のAMD FM1用に交換する。
デフォルトのIntel用リテンションを外す。
付属品のFM1用リテンションに付け替える。
付け替えようとしたが、固くて入らないので…
蓋を外す。ポンプ部が見える。
FM1用リテンションに付け替え完了。
続いて、マザーボード側の爪に引っ掛けるための金具を取り付ける。
マザーボード側の爪に引っ掛けた後で、この手回しネジを締めて固定する仕組み。
取り付け作業。ラジエターとラジエター用ファンを取り付ける。
このように、PCケースとラジエタの間にファンを挟んで長いネジで留める。
手回しネジは充分に緩めておく。
CPUへ取り付けて、ファンとポンプの電源ケーブルコネクタをマザーボードへ接続。これで作業完了。AMDの場合は、このようにマザーボード標準のリテンションが使えるので、CPUへの取り付け自体はとても楽だ。
■CWCH50と比べてホース部の機構が改善、取り付け易くなった。冷却水が通るホースは右側面になっていることと、回して向きを変えることが出来るので
(この写真の場合、手前・奥方向)、先代のCWCH50と比べて、硬いホースを曲げにくいためにCPUへの取り付けに苦労するということがなくなった。扱いやすさが良くなった。
■メモリスロットとは隙間があるので、干渉はしない。今回使用したAMD A-Series APU Trinity用のマザーボード、GIGABYTE GA-F2A85X-UP4では、写真の通りメモリスロットとの干渉は無かった。
■簡易水冷一体型CPUクーラーのメリットは、
日々のメンテナンス(埃の掃除)がしやすいこと。空冷クーラーはファンの風によって、CPU周辺の一部に埃が付いて汚れやすいが、水冷クーラーだとコンパクトでスッキリと空間が開くこととファンがないため、埃が付きにくくなるところが良い。
また、ラジエターに付いた埃も基本的にはPC内側から外に向かってエアダスターで吹いてやるだけで良いので楽だ。PC内部に埃が舞わないし、汚れが取れたかどうかも確認しやすい。
■デメリット逆に、デメリットは、OC時には、あまり冷却力に期待できないこと。
また、「ジー」という独特のポンプの作動音があるということ。
空冷クーラーと比べ構造が複雑で冷却水の補充が出来ない使いきり仕様なので、耐用年数が気になるといった点がある。保証期間が5年間なので、大体5年間は使えるのかなという感じ。
■使い勝手とCPU周りがスッキリする点が良い。長期間の信頼性を重視するなら一般的な空冷クーラー、取り付け後の埃の掃除などの扱いやすさを重視するなら簡易水冷クーラーと言えるかもしれない。
■CoolIT Systems社のOEM。Asetekではない。このCWCH60は、CoolIT Systems社のOEM製品だ。
簡易一体型水冷メーカーは、採用例が多いAsetek、次いでCoolIT Systemsがメジャーどころで、一般的な自作PCユーザーがよく見かける製品だと思う。
CORSAIRの簡易一体型水冷CPUクーラーの内、
CoolIT SystemsのOEMモデルは、H60、H80、H100、H60(第2世代)、H80i、H100i。
AsetekのOEMモデルは、H50、H40、H55、H70、H90、H110。
両社ともラジエータとホースがそっくりだけど…。
CoolIT Technology (CoolIT SYSTEMS)
http://www.coolitsystems.com/index.php/technology.html因みに2012年8月にAsetekが特許侵害でCoolITを訴えて訴訟になっているようだ。
■その他、CORSAIR H60(CWCH60)を購入した理由因みに、廉価版には冷却水のポースがプラスチックではなくゴム製の物があるが、耐久性や劣化を考えるとプラスチック製の方が安心かなと思い、この製品を購入した。
■暫く使っていたが、大きな騒音に我慢できず外した。暫く使用していたが、2012/11/8に取り外し、以前使用していたCWCH50に戻した。その理由は、ポンプ作動音が非常に大きく我慢出来ないため。
音も「グヮグヮグヮグヮグヮ」という独特な音で、日数が経つに連れ、段々と騒音が大きくなったように感じる。また、ときには際立って煩くなってしまう状態になった。
ポンプの回転数を落とすため、試行錯誤してみたが騒音は改善しなかった。やってみたことは、UEFI(BIOS)設定やマザーボードのユーティリティソフト「EASYTUNE6」で回転数を落としてみたり、電源をCPUファンコネクタからシャシーファンコネクタに差し替えてみたり、PWMファン分岐ケーブルでラジエターファン(PWM接続)と一緒に繋いでみた。騒音の酷さは、残念ながら大して変わらなかった。
■性能は良いと思うが、独特の騒音が曲者。この騒音が掻き消されるほどのPCだったなら、問題ないかもしれない。外してしまったので、個人的に使用感を纏めておく。
CWCH50と比べると、性能は良いと思う。消費電力は私のPCで比べたところ、5W以上低いし、CPUの温度も上がりにくい。しかし、その反面独特の騒音があり、その音がファンの音で掻き消されるぐらいでないと、使っていて辛くなってくる。したがって、ほぼハイパフォーマンスPC向けと言える。静音志向なPCには使わない方が良いと思う。
■独特の騒音について原因を探ってみたところ感じたことは、ポンプ部が横置き状態なら、ほぼ無音のパーフェクトクーラーになるはずということ。ポンプ部が縦向きになるか、横向きになるかで大違い。
つまり、マザーボードが地面と水平である横向き("まな板"または横置きPC)では、ポンプ部も同様に横向きの水平設置になるわけだが、このときに限っては、ほぼ無音になるのだ…。どーやっても、ポンプ部が縦になると独特の騒音が出るのだ。何て勿体無いことか。今後改良されることに期待する。
■初期不良か?仕様か?もうひとつ考えなくてはならないのは、私が手にした製品が初期不良かもしれないということ。この点においては分からないので、時間が出来たときにサポートに相談してみようかと思う。
非常に曲者だったが、個人的に我慢出来ないほどの独特の騒音さえなければ、性能が良いので申し分なかったと思う。残念。静音志向なら素直に空冷クーラーにしておけば良いのに…という、半ば当たり前のオチがついた。
私は、今回でAsetekとCoolITのOEM製品をひとつづつ購入して使用したことになるが、そこから感じたことは、低負荷時の静音性を重視したい場合は、Asetekの方が良いということだった。
簡易水冷クーラーのネックは、ポンプ音が不快だった場合に、クーラーファンのように、ユーザー自身がその部分だけを交換することができない。お手上げの状態に陥るのだ。また、ポンプはモーターなので、寿命が有る。簡易水冷クーラーは、お手軽だが、デメリットや実際に使ってみるまで分からない部分が多々あるように思う。
CPUクーラーを購入するときのポイントは、
長期間の使用を考慮するなら信頼性が最も大事なので、空冷クーラーしかないだろう。特に、AMDの場合は、ソケット変更があっても使い回しが利く面が多いため、たとえ購入価格が高かったとしても、トータルコストまで含めると安くつく。何しろ、AM2、AM2+、AM3、AM3+、FM1、FM2は、リテンションが基本的には共通なのだから…。
手堅く行くなら、空冷クーラーだ。
個人的には、簡易水冷クーラーは、「お遊び」くらいの心構えが必要だなと感じた。
CORSAIR (コルセア)
Hydro Series H60 High Perfoemance Liquid CPU Cooler
CWCH60 (H60)
・CoolIt Systems製OEMモデル H60 第1世代モデル
対応CPUソケット:
Intel LGA775, LGA1155, LGA1156, LGA1366, LGA2011
AMD AM2, AM3
ラジエター寸法:120mm x 152mm x27mm
ファン寸法:120mm x 120mm x 25mm
ファン回転数:最大1,700rpm (PWMファン)
ファンエアフロー:74.4cfm
ファンノイズレベル:30.2dBA
ファン静圧:3.2mmH2O
保証期間:5年間
CORSAIRのWebサイトでは、旧世代モデルとなるためか、この製品の紹介ページは無くなりました。
最新のIntel/AMDプラットフォームに対応した水冷一体型ユニット 進化した銅製プレート&強力な小型ポンプ、PWM機能搭載120mmファン採用! 簡単な設置、メンテナンスフリー&強力な冷却性能を発揮 HydroシリーズハイパフォーマンスCPUクーラー CWCH60
(日本国内正規代理店 リンクスインターナショナル)
http://www.links.co.jp/items/corsair-others/cwch60.html
※追記(2012/10/26, 2013/1/18)尚、製品名は同じ物ですが、デザインや構造などが変更された
マイナーチェンジ版("第2世代"モデル)が2013/1/19(土)に発売されました。対応ソケットも正式にFM2が加えられています。
型番は、CW-9060007-WWとなります。
Hydro Series H60 High Performance Liquid CPU Cooler
CW-9060007-WW (CORSAIR)
http://www.corsair.com/en/cpu-cooling-kits/hydro-series-water-cooling-cpu-cooler/hydro-series-h60-high-performance-liquid-cpu-cooler.html
H60
CW-9060007-WW
(日本国内正規代理店:リンクスインターナショナル)
2013/1/19(土)発売予定
http://www.links.co.jp/item/h60/
Corsair Partner Products
EXTREME PERFORMANCE, RELIABILITY, MONITORING and CONTROL
(CoolIT Systems - PRODUCTS - RETAIL)
http://www.coolitsystems.com/index.php/products/retail.html
■CORSAIR簡易水冷クーラーOEM別一覧
CORSAIRの簡易水冷CPUクーラーは、CoolIT SystemsとAsetekの両方のメーカーからOEM供給されているため、型番からは判別が付きにくいという煩わしい点があります。OEMメーカー別に一般的な120mmラジエーターの製品を一覧にしました。
CORSAIR
Hydro Series Liquid CPU Cooler 120mmファン対応モデル 2016年春版 |
OEM元
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CoolIT
Systems
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ASETEK
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名称
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H60 |
H80i v2 |
H100i v2 |
型番
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CW-9060007-WW |
CW-9060024-WW |
CW-9060025-WW |
参考価格
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H60
CW-9060007-WW
79.99 USD
CORSAIR
http://www.corsair.com/en-us/hydro-series-h60-high-performance-liquid-cpu-cooler
CoolIT Systems (供給元)
http://www.coolitsystems.com/index.php/desktop/desktop-2.html
日本国内正規代理店:リンクスインターナショナル
参考価格:7,000円〜8,000円程度
http://www.links.co.jp/item/h60/
H80i v2
CW-9060024-WW
129.99 USD
CORSAIR
http://www.corsair.com/en/hydro-series-h80i-v2-high-performance-liquid-cpu-cooler
Asetek (供給元)
http://www.asetek.com/customers/do-it-yourself/corsair/corsair-hydro-series-h80i-v2/
日本国内正規代理店:リンクスインターナショナル
2016/4/9(土)発売
参考価格:16,967円
http://www.links.co.jp/item/h80i-v2/
H100i v2
CW-9060025-WW
149.99 USD
CORSAIR
http://www.corsair.com/en/hydro-series-h100i-v2-extreme-performance-liquid-cpu-cooler
Asetek (供給元)
http://www.asetek.com/customers/do-it-yourself/corsair/corsair-hydro-series-h100i-v2/
日本国内正規代理店:リンクスインターナショナル
2016/4/9(土)発売
参考価格:18,511円
http://www.links.co.jp/item/h100i-v2/
今のところ、CORSAIRの場合は、CPUと接触する銅製コールドプレートの形が四角形なのがCoolIT、丸がAsetekです。
Asetek製簡易水冷クーラーの購入を検討される場合、CORSAIRは高価なので、他社の製品も合わせて検討されると良いと思います。Asetekは、自作PCパーツメーカーをはじめ、IntelやAMDなどのCPUへのバンドルやハイエンドグラフィックスカードに搭載されたりと、採用実績が多いことが特徴だからです。
サイズからAsetekの簡易水冷を採用したAPSALUSシリーズの新型モデルが発売されます。最新の5thジェネレーションモデルを採用したスタンダード簡易水冷クーラーです。
APSALUS4 120 (サイズ)
http://www.scythe.co.jp/cooler/apsalus4-120.html2015/8/13頃発売
参考価格:10,238円