ASUSのマーザーボード『F2A85-M
PRO』に搭載されている付加機能「EPUスイッチ」は、ONにするだけで簡単に省電力化が可能という機能だ。そこで、A10-6800Kで組んだPCにおいて、どれくらい効果があるものなのか、ワットチェッカーを使って確認してみた。
ASUS独自機能「ASUS Dual Intelligent Processors 2 with DIGI+ VRM」
このマザーボードには、「ASUS Dual Intelligent Processors 2 with DIGI+
VRM」が搭載されている。これは、ASUS独自の機能となっており、電力管理専用チップの「EPU」、高精度オーバークロックチップの「TPU」に、デジタル電源回路「DIGI+
VRM」の組み合わせを指すものとなっている。
今回は、「EPU」の効果を確認してみることにする。
自動省電力機能「EPUスイッチ」
EPUスイッチ 使用手順
EPUスイッチの省電力効果を確かめる
上図の4項目の内、一番上のものをチェックしてみることにする。
内容
「確認が難しいのですが、EPUのオン/オフ2パターンで、ワットチェッカーなどで負荷時とアイドル時の消費電力を計測してみてください(あればでいいです)。数Wの違いが出るはずです。現在のPCシステムでは、数Wの省電力化が難しくなっています、また、この数Wが、長期間の使用で大きな差となります。」
負荷時の作業に選んだのは、ゲームとGPUエンコード
負荷時の計測をするために選んだ作業は、ゲームとGPUを使ったハードウェアエンコードだ。実際の用途で使うものであり、消費電力の高さがトップクラスでもある。CPUとGPUどちらも使う作業なので、APUの負荷を確かめるにも丁度良いと思う。
ゲーム
codemasters『DiRT 3』のBENCHMARK MODE
DirectX11対応のレーシングゲームで、AMDとの協業による「AMD Gaming Evolved」タイトル。
CPUとGPUへの負荷の傾向は、CPUが中程度、GPUが常にほぼ最大(98%)。
GPUハードウェアエンコード
CyberLink『MediaShow
Espresso 5.5』
AMD App Acceleration対応のハードウェアエンコードソフト。
CPUとGPUへの負荷の傾向は、CPUもGPUも中程度。
したがって、どちらもAMDのAPUを活かせるソフトであると思う。
EPUスイッチの効果「アイドル時と負荷時の消費電力」
アイドル時
EPUスイッチ:OFF
57W〜59W
EPUスイッチ:ON
57W〜58W
結果:
消費電力は、ほぼ同じ〜1W削減できた。
負荷時
ゲーム:
codemasters『DiRT 3』のBENCHMARK MODE
条件
全画面表示
Options
Graphics
Settings
Resolution: 1920 x1080
Refresh Rate: 60
Multisampling: 4 x MSAA
VSYNC: OFF
Aspect Ratio: 16:9
Detail
Choose Preset: -
Night Lighting: High
Shadows: High
Particles: High
Mirrors: High
Characters: High
Graound Cover: High
Distant Vehicles: High
Objects: High
Trees: High
Vehicle Reflections: High
Water: High
Post Process: High
Skidmarks: ON
Ambient Occlusion: High
Cloth: High
Detail設定の変更はしなかった。
EPUスイッチ:OFF
1回目:最低133W
概ね161W〜163W 最大164W
フレームレート 平均36.20fps.
最低30.35fps.
2回目:最低134W
概ね161W〜163W 最大166W
フレームレート 平均37.02fps.
最低30.93fps.
3回目:最低133W
概ね160W〜163W 最大166W
フレームレート 平均36.90fps.
最低30.75fps.
EPUスイッチ:ON
1回目:最低130W
概ね150W〜153W 最大154W
フレームレート 平均36.66fps.
最低30.60fps.
2回目:最低130W
概ね150W〜154W 最大155W
フレームレート 平均36.44fps.
最低30.57fps.
3回目:最低130W
概ね150W〜154W 最大155W
フレームレート 平均36.49fps.
最低30.18fps.
結果:
性能を維持したまま、
消費電力を9W〜11W削減できた。
GPUハードウェアエンコード:
CyberLink『MediaShow
Espresso 5.5』
条件
TV録画番組(BS11で録画した30分アニメをCMカット編集したもの)をH.264 MPEG4-AVC 1280x 720p 6Mbpsへエンコードする。
ソースファイルのビットレート
MPEG2-PS 1920x1080i 平均ビットレート約17.9Mbps(音声Dolby Digital AC-3 256kbps) 再生時間23分39秒
変換後のファイルのビットレート
H.264/MPEG4-AVC 1280x720p 平均ビットレート6Mbps 音声MP4 AAC 256kbps)
EPUスイッチ:
OFF
最低120W
概ね120W〜123W 最大125W
EPUスイッチ:
ON
最低102W
概ね113W〜115W 最大119W
結果:
性能を維持したまま、
消費電力を7W〜8W削減できた。
まとめ
消費電力は、アイドル時では、ほぼ同じか1W程度の削減となり効果は小さい。しかし、負荷時には、最大で11Wの削減となり、大きな差となった。より大きな負荷がかかるほど消費電力の削減も大きくなる傾向があるようだ。
マザーボード上のEPUスイッチをONにするだけで、手軽に省電力化できるところが良い。
取り敢えず、兎にも角にもEPUスイッチはONにしておくことが良いと分かった。